エンテロウイルス71型

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エンテロウイルス71型

 

 

このウイルスは、コクサッキーウイルスA16型などのウイルス等と同じで、手足口病の病原体の一つです。主に夏である6月〜8月にかけて乳幼児の間で感染患者が出ていますが、ここ10数年は3年ごとに流行を繰り返しているとありました。
71型のウイルスで手足口病を起こしても、ほとんどの場合は数日から1週間で治ります。
感染後3〜5日すると口の中、手のひらや足などに水泡性の発疹が出て、高熱ではない発熱がみられるのは発病者の半数以下です。ただし口の中に水泡が出来るので食べることが困難になります。特に主な発病者が乳幼児であるため、診ている側がとても心配になるくらい辛い症状が特徴です。しかし71型による感染症で手足口病は軽症疾患とされています。ほとんどがこの症状で治っていく反面、重症疾患を引き起こし死亡する例があるのです。

 

重症例として中枢神経の合併症、無菌性髄膜炎や小脳失調、脳炎などがそうです。他にも心筋炎、神経原性肺水腫、急性弛緩性麻痺など、71型の感染による合併症は重症疾患の割合が高いそうです。

 

しかも患者から検出されたエンテロウイルス71型が、遺伝子レベルで一部だけ違うタイプのものだったことがあり、日本や外国での死亡例をみると感染後の経過が似ていたという事例があります。これはいわゆる「新型」のウイルスが発生したということで間違いないでしょう。インフルエンザにおいても、感染力の強い新型が流行したのが記憶に新しいと思われます。

 

手足口病から合併症を引き起こす割合が少ないとはいえ、71型による大きな流行がアジア各国で報告されているようです。重症化しやすいのは主に3歳未満の低年齢層。これは手足口病が一度かかると抗体が出来ます。しかしウイルスの型が違うとかかってしまう可能性はあるでしょう。とはいえ抗体を持たないこの年齢層が感染すると、重症化の危険性があるのはいうまでもありません。

 





手足口病に感染した場合、重症化に早く気付くことが大事です。比較的高熱が出ないはずなのに高熱が出る、もしくは高熱が続くのは危険な証拠です。発熱と同時に立っていられないなどの症状が出たらもっと大変です。早期に治療を受ければ助かります。水泡が出始めてすぐには気付けないかもしれませんが、高熱や食べるのを嫌がる、もしくは嘔吐する、呼吸が苦しそう、頭痛を訴えるなどの症状が出たら、すぐに医療機関で診てもらいましょう。ワクチンや治療薬はありません。症状を軽減する目的対症療法で乗り切ります。ほとんどの場合1週間で治る感染症とはいえ、場合によっては重症化、死亡まで発展させないためにも経過観察をしっかりする必要があります。

 

感染は便に排出されたウイルスを接触、飛沫などによって起こります。保育園などの集団生活において、乳幼児は衛生的な行動がとれない年齢でもあるので感染の拡大は容易です。地域の感染者が出た場合は、必要のない外出を控えるなど出来るだけ注意が必要でしょう。これが予防につながります。

 

一番身近な予防法は、しっかりとした手洗いです。手洗いの習慣は、これに限らず病気の予防に欠かせませんね。